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とりあえず頑張りますくん

Tue Aug 24 2021

とりあえず頑張りますくん、というのは高1のとき部活の鬼OBがぼくを揶揄して言ったものだ。
このとき一回言われただけであだ名でもなんでもないんだけど、十年以上経ったいまでも覚えている。

3年生が引退して1年生のお客様扱いが終わり(それまではお客様扱いされてると思ってなかったが)、4週目だったと思う。
練習がしんどすぎて1年生はすでに2人来なくなっており、残ってる面子もとっくにメンタルがやられて更衣室で弁当を食べる時間は葬式みたいだった。(葬式みたいだった、ってよくある表現だけど突然の死じゃなけりゃ葬式ってそんなに静かじゃないしめちゃくちゃ暗くもないよな……。)自分も相当やられていて帰宅後ベッドにたどり着けず床で寝たり夢の中でもしごかれハッと目が覚めたら寝ながら腹筋してた、みたいなことがよくあった。
練習中はやけくそで声は張り上げるのだが(張り上げないと怒られるし)チーム全体で士気が地に落ちていた。ある日練習中の移動がノロノロしていてOBがぶち切れ、お前らが上を目指したいというから指導に来ているのに何なんだ、やる気ないなら俺はやめる、と言って帰っていった。ありがちな話だ。その後部員でしばらく話し合って、そこでの結論は記憶が曖昧なんだけど、ぼくは帰宅後個人的にOBに電話した。
電話ではすみませんでした、頑張りたいです、指導お願いします、ということを話した。つもりだった。本心としては、しんどすぎるから今すぐやめたいけどそれなりに覚悟決めて入部したし、その決断を応援してくれた人たちもいたし、何より引退した3年生たちにはめちゃくちゃお世話になって恩義を感じていたのでやめられん、とはいえもうやる気は死んでる、辛すぎる逃げたい……という感じで、毎日退部せず練習しなくてよくなるにはどうすればいいか……みたいなことを逃避で考えていた(中途半端に故障してもその部位以外の筋トレとかで追い込まれるな…とか)。そういう状態だったのでOBへの電話でも無意識のうちに「とりあえず頑張ります」と言ってしまっていたらしい。本音出すぎだろ。
ぼくは「とりあえず頑張りますくん」だったが、2年生とか、もっとちゃんとやる気を示した人がいたのでOBは指導を続けてくれた。OBがとりあえず頑張りますくん、と言ったのも一回だけで、強く責められたわけでもないのだが、なにせ無意識に出ていた言葉で自分では記憶になかったので結構なショックを受けた。どうも部活そのものをやめたくてしょうがないのは自分だけで、自分だけダントツで士気が低いらしいと情けなくなった。

という辛い思い出があるんだけど、今振り返ると、うるせえとりあえず頑張りますくんでいいじゃねえか、と思う。いや別にそんな責められてたわけじゃないんだけど。
そもそもマジで辛いなら逃げりゃいいし、その逃げるときが来るまでとりあえず頑張ってみる、それでいいじゃんか。熱意に満ち溢れていたり大層な覚悟を決めていたりしっかり計画立ててないと何かに取り組んじゃいけないなんてことはない。とりあえず頑張りますでいいじゃんか。
ぼくはその後とりあえず続けてるうちに、強化練習山場の一日2万メートル泳ぐ日になにかおかしくなってめちゃくちゃ前向きになってしまった(怖い)。

前の会社でボロボロになってやめたあともマジでボロボロだったので、目標をたてることもできずとりあえず生きてればいいやって生きてたけど、とりあえずで1年ぐらい生きてるうちに次に何しようか考えられる程度に元気になった。
ちなみにそこまでボロボロになったのは、高校の部活含めそれまでの人生で辛いのに耐えたり我慢するのが得意になりすぎてたからだと思う。新卒で就活するときタフさには自信がありますとか言ってたけど働く上でタフさなんてあってもろくな事にならん。本当はマジで辛くなる前に逃げたほうがいいんだよなぁ。

ちょっと話は違うけど、ネットでよくみる半年ROMれというのもあまり好きじゃない。
インターネットを覚えて掲示板デビューして半年ぐらいのころ、とある雑談BBS(雑談BBS!)への初めての投稿で自己紹介と「はじめてなんでよくわからないこともたくさんあると思いますが教えてもらえると嬉しいです!よろしくお願いします!」みたいなことを書いたらそこの古参の1人に「その態度が気に食わない」とかいうレスをつけられたのね。当時かなりショックだったのでほぼこの文字列で合ってると思う。
ショックを受けつつ、「なにかやらかしてたら教えて」じゃなくてやらかさないようにルールしっかり把握してやらかさないようにしろってことか、と理解して謝罪したんだけど、小学4年生を名乗る新参に対して「その態度が気に食わない」の一言だけはあんまりじゃないか。

インターネット原体験の一つにこれがあるせいで自分はすっかり半年ROMる精神というか、新しい場に入ったりそこで発言することにめちゃくちゃ慎重になってしまった。
でもそれを他人に強いちゃいかんと思う。自分が気軽にあれこれできないからといって気軽にあれこれする人の存在を否定しちゃいけない、と思う。

……というわけでトラウマ話二本立てでした。

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